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01.2013

 環境造形演習

平成24年度  環境造形演習 (大学院1年次 課題)
建築物や自然環境の中で彫刻をより効果的に存在させるためには、彫刻とそれをとりまく環境との相互関係に配慮が必要となってくる。また現在、環境そのものを高度に造形化出来る人材が求められている。この分野に関しては、これまで建築家、デザイナー彫刻家などから様々なアプローチがなされてきたが、未熟生の部分が多い。ランドスケープ等も含め環境造形全般について意識を高め、演習を通して伝統的なものから現代のものまでを学ぶ。
担当教員:林 武史(非常勤講師、東京芸術大学教授)
               前川義春(彫刻専攻・教授)
               伊東敏光(彫刻専攻・教授)
               C・ウォーゼン(彫刻専攻・准教授)
               秋山隆(彫刻専攻・講師)
平成24年度テーマ「臨場と干渉、そして連鎖」
彫刻が存材するには多くの事項が必要である。その中で周囲の環境とどのように折り合いをつけるかが重要なポイントとなる臨場、また、その場と事物に何らかの影響を与える干渉。そして彫刻に強く望まれる連鎖反応などがある。これらの出来事を内と外の差異を主なる手がかりとし、彫刻自体の存在感とは、現代の多様化した表現において何が強い彫刻なのかを再考し、新たな独自の彫刻の言葉を生み出すことを試みる。
内容
(前半)
1日、導入、課題説明(室内と野外空間の提示)
2日、作品プランとマケットの作成
3日、プラン、制作方法のプレゼンテーション
○作品制作(後半授業までの約5ヶ月間で制作を進める)
(後半)
4日、各自選んだ空間に作品設置、プレゼンテーション、鑑賞
5日、林教授の指定した空間に作品を移動設置、プレゼンテーション、鑑賞
以下 学生の展示作品
  
オマル・ロサレス
「人工禅」
私の作品では、「自然」と「人工」の2つをコンセプトに用いている。従って、外部の空間はそれと同じような性質を持たなければならなかった。大学の入り口の芝生と木々は、「自然」というものを強調する。そして、私の作品を大学の建物の壁際に置くとコンクリートが「人工」というものを強調させる。
1日目

  
2日目

小谷竜人
「2112」
「動く彫刻」を屋内に設置するための装置と併せての設置を行った。薄暗い室内の中で照明機能のある装置と併せて設置し、その構造をより鮮明に、効果的に見せることを目的としている。
2日目は前日の展示後に指定された、舗装されていない草原の斜面に設置した。本来屋外を想定した作品は野外でこそ理に適った見え方をしていたように思う。
1日目


 
2日目

園田昂史
「かなたのきし」
あの世を体感するための装置のような作品。障子に映りこみ、揺れ 動く影は曖昧で決して現実には捉えることのできない世界感をイメージしている。また枠に使われている木は、虫食いや朽ちて亡くなった部分に石膏を流し込み磨き上げている。白く浮かび上がった不規則な模様は木そのものの死(生)を感じさせる。
2日目の場所は、一面コンクリートの空間で、天井付近にコンクリートの梁のようなものがあり利用しようと考えた。空間そのものに石棺のような印象を感じ、素材である木、死(生)のイメージとしての白、そして浮遊という3つの要素から作品を展開した。
1日目

2日目

友定睦
「水面に映る像の彫刻」
日頃の生活の中から川や海に映し出されるビルや外灯の像に関心を持ち、水面に映る像の彫刻を制作した。水面に映る像の特徴として「光の拡散反射」、「わずかな透過性」、「揺らぎ」をキーワードにあげ、これらの条件を満たす彫刻を制作することによって、水面の像の立体化を目指した。
1日目の展示では作品が構造的になってしまったので、2回目では私自身のイメージをより具体的に形にすることを心掛け、作り直した。背景に広がった冬の澄んだ青空が作品を際立たせた。
1日目

  
2日目

米田章
「間欠泉」
間欠泉の「水の噴出」という現象を切り取り、何気ない場所にペースト(貼り付け)することで日常の中に違和感を生み出そうと試みた。
1日目

2日目